研究内容

tkomat-labにて「現在進行形」で進んでいる研究の紹介です.

ASE (Artificial Subtle Expressions):人工物の内部状態を直感的に伝達する手法の提案

共同研究者:山田誠二(情報研),小林一樹(信大),船越孝太郎,中野幹生(ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン)

エージェントのなどの人工物がその内部状態(例.自信の無さ,気分など)をユーザに表出するためには,人間らしい表情や音声などを表出できるシステムをエージェントに実装することが必要だとされてきました.つまりこれらの研究アプローチを採用するには,非常に多大なコストと労力が必要となってしまいます.

その一方,私たちの研究アプローチでは,ビープ音やLEDの点滅といった単純かつシンプルな情報であっても,エージェントの内部状態を表出可能であることを実験的に確認しました.このような表出情報をASE (Artificial Subtle Expressions)と定義して,その有効性および有用性を追求しています.具体的には,「ASEが適用できる効果的なアプリケーションとか?」「ASEの解釈には文化差が影響しているのか?」といった問題を明らかにするための調査を進めています.

音象徴に基づくオノマトペの数値化およびそ数値化したオノマトペを利用してユーザのモヤモヤ感を具現化する手法の提案

共同研究者:清河幸子(名古屋大学),加納政芳(中京大学)

オノマトペ (Onomatopoeias)とは「ぶつぶつ」「しとしと」といった擬音語,擬態語などの総称で,感覚的で繊細な表現を可能としているコトバです.このオノマトペについては,表現したい対象を詳細に説明できる人はオノマトペを使わない一方,表現したい対象をうまく説明できない人は思わずオノマトペで何かを表現してしまうという,特徴的な使われ方がされています.つまり,ある人が感じたうまく表現できないモヤモヤとしたイメージやニュアンスは,オノマトペに含まれていると考えることができます.

オノマトペの使用法図:オノマトペの特徴的な使われ方

そこで本研究では,言語的な意味とは独立に音響的な意味が存在しているという音象徴という現象に注目して(例.「サ行」=スムーズ,ガ行=力強い),日本語の母音,子音といった各要素に対して「強さ」「速さ」という属性を備えた8次元ベクトルを設定し,それらを組み合わせることでオノマトペの属性ベクトルを算出するという数値化の方法を提案しました.このような数値化方法を採用することで,辞書のようなデータベースを必要とせずに,新奇なオノマトペの数値化が可能になります.現在は,この数値化方法がユーザの感覚と合致しているかを綿密に調査しています.

また,このようなオノマトペ属性ベクトルをロボットなどのアクションに付与することで,「もっとガチガチって歩かないかなぁ」というあいまいな入力によるロボットの動作編集が可能であることを示すことができました.今後は,ユーザがオノマトペに込めた曖昧な情報を入力とするような,直感的インタフェースの構築に向けて研究を展開させていく予定です.

がちがち図:通常の動作波形(左)に「がちがち」を付与した波形(右).「がちがち」っぽくなってますよね(笑

オノマトペに関する分野横断的研究プロジェクトの推進

共同研究者:中村聡史(京都大学),秋田喜美(大阪大学),平田佐智子(東京大学),岩佐和典(就実大学),田中恒彦(滋賀県立医大) and more...

「オノマトペ」に関する研究はユーザインタフェース分野といった分野のみならず,言語学,心理学,認知科学,音声情報処理,データベース,臨床心理,医学など多岐に渡る分野で行われています.そこで,これら様々な分野のオノマトペ研究者を一同に会する機会を設定し,オノマトペ研究を分野横断的に捕えていこうというプロジェクトを進めています.現在のところ,異分野の研究者同士のコラボレーションが徐々に生まれており,そのような活動をサポートする体制づくりを進めているところです.

情報の曖昧化~information clouding~

共同研究者:中村聡史(京都大学),土方嘉徳(大阪大学),高村大也(東京工業大学)

私たちの身の回りに溢れる膨大な量の情報を有効に利用するための手法の確立は,情報科学,人工知能研究分野においてホットな課題の一つであり,「情報爆発」「ビックデータ」などといったテーマに多くの研究資源が投入されています.その一方,それらのデータを利用する側である一般のユーザは,これらの大量データとどのように向き合えば良いのでしょうか.例えば,大量のデータが提示されるような環境にいると,本来ならば遮断しておきたい情報に思わず触れてしまうといったいわゆる「ネタバレ」という状況が頻繁に発生してしまうと考えられます.

そこでこのプロジェクトでは,ユーザにとってはあえて触れたくない情報が確実に存在するというスタンスから,ユーザにとって認知的負荷のない情報環境を「情報の曖昧化」という考え方から考察しています.具体的には,数々の「ネタバレ防止」システムの提案および,それらのシステムに対峙したユーザの認知的状態の計測といった研究活動を進めています.

携帯情報端末における直観的入出力方法の提案

共同研究者:坂本大介(東京大学)

TBA :)

「触らず」にテクスチャを理解する手法の提案

共同研究者:秋田純一(金沢大学)

TBA :)

 

研究アーカイブ

tkomat-labにてこれまで取り組んできた研究たちです.

「適応ギャップ」がユーザとのインタラクションに与える影響

共同研究者:山田誠二(情報研)

ある人に対して抱いた第一印象は,その後の付き合いによって良くも悪しくも裏切られることが多いと思います.このような現象は社会心理学において「獲得損失効果」と呼ばれていますが,この現象が人間とエージェントとの間にも成り立つかどうかを実験的に検証することが本研究の目的です.

特にユーザがエージェントに対して期待した機能と実際に感じた機能との差異を適応ギャップ (Adaptation Gap)と定義することで,この現象の定量化を追求しています.この研究の成果を発展することで,ユーザとの円滑なインタラクションを求められるエージェントの設計論の構築を目指しています.

オノマトペの使用法図:適応ギャップのイメージ図:(左)期待>実際(負の適応ギャップ),(右)期待<実際(正の適応ギャップ)

バーチャルエージェントが現れるメディアの違いがユーザとのインタラクションに与える影響

共同研究者:山口智治,笹間亮平(NEC C&CL)

近年,スマートフォンや大画面薄型テレビなど,様々な種類の情報端末が急速に普及しており,それらの端末上に現れてユーザを支援するバーチャルエージェント(On-Screen Agent)の実用化が模索されています.しかしながら,それらのバーチャルエージェントはどのような種類の情報端末にどのように現れるべきかということは,未だに明らかになっていません.

そこで本研究では,エージェントが現れるメディアの差異がユーザとのインタラクションに与える影響について考察しています.この研究を進めていくことで,「いつでもどこでも」ユーザに対して適切な支援を提供できるバーチャルエージェントの実現に貢献できると考えています.

CyARM:距離情報をユーザにフィードバックする

共同研究者:岡本誠,伊藤精英(未来大),小野哲雄(北大),秋田純一(金沢大)

目を閉じて歩行しようとすると,自然に手を前に伸ばして環境を探索しようとします.そしてその際に,何らかの物体に触れると反発力は腕に伝わり,その時には肘は曲がった状態になります.しかしその一方,遠くの物体を触るときや何も物体が存在していない時には肘は伸びた状態になります.このような,人の腕の屈伸運動に負荷を掛ることによって物体までの距離感を伝達するインタフェースがCyARMです.

コンセプト図:肘の屈曲と対象物との関係概念図図:CyARMの動作コンセプト

ロボットと「ふと」目が合うことがユーザに与える影響とは?

一緒にいる人とある時「ふと」目が合ったりすると,その人と深くつながった感覚を覚えませんか? 例えば友人と街を歩いているときに,ものすごく奇抜な格好をした人とすれ違ったとします.そしてその「すれ違い」の直後に「ふと」その友人と目が合った時,なんともいえない連帯感を感じるのではないでしょうか(例.「今のみたー!?」).

そこで本研究では,ロボットとふと目を合わせたユーザはそのロボットに愛着を抱くのでは?という仮説を立てて,その仮説を検証する実験を行いました.